SF風味のミステリー

七日目は夏への扉


七日目は夏への扉

にかいどう 青 (著)

image
にかいどう 青 (著)

翻訳家の美澄朱音は大学時代の恋人が事故死した夢を見る。

月曜の朝、目覚めた朱音は元彼の森野のことを思い出す。

別れてからもう何年も会っていないのに…

翌日、目を覚ました朱音、火曜だと思っていたのに今日は水曜日であった。

仕事柄家に引きこもることが多く、曜日の感覚がおかしくなっているのだと思っていた。

その日見た新聞のニュース欄に名前は出てないが、車が事故で転落し男性が死亡すると言う記事を発見した朱音は、森野が事故死した夢の記憶が蘇る。

そして死の間際に森野が口にした言葉の意味に疑問を抱く。

そこに友人から告げられた森野の訃報。夢は現実のものであった。

しかも自殺の可能性があるかもしれないと言うのだ。そして翌日… 次に来たのは日曜日だった。

朱音の1週間は時をかけるかのごとく入り組んでいた。それはやり直しができると言うことだ。

どうしてこうなってしまったかなんてのは知る由もない。

そしてたどりついた考え…森野が殺人を犯して自殺したのではないか…
だが、まだやり直しができるはず。

森野が死ぬのはまだ来てない。7日目にやってくる火曜のはずだがな。朱音は未来を変えるため森野を救うために動き出すー

タイトル買いだけど、すごい面白い作品であった。

まず朱音の男っぽい口調に実際にこういう人が身近にいたので、なぜか親近感を覚えた。

また中学時代にグレててギターを始めたと言う、いかにもな設定や作品の中に所々出てくるバンドの名前等は知っている人には少し嬉しく感じる。

全体的に登場する人物の過去が幸せとは程遠いものであり、何が幸せで不幸なのかを作品を通して問われているようでもある。

最後に表紙の学生時代の朱音と思われる少女に、ストラトキャスターも装備してあげれば、完璧だったかなと思った。

SF沼におちた僕の本棚
音乃木坂図書室