ジョン・スコルジー著 内田昌之訳
前作のコーラルの戦いより約1年後。
人類と敵対しているエイリアン、ララエイ族とエネーシャ族、オービン族の3種が同盟を結び、人類への攻撃を計画していたのだが、その裏には1人の人間の存在があった。
科学者でコロニー防衛軍の研究部にて脳に直接働きかけるブレインパルの開発に携わっていたチャールズ・ブーティンが人類を裏切り、エイリアンに協力をしていたのである。
コロニー防衛軍はその計画と居場所を突き止めるため、ルーティンがかつて残した自身のクローン遺伝子を利用し、肉体に意識を転送する。
転送は成功するが、ルーティンの記憶までは引き出せなかった。
こうして生まれた男はジャレド・ディラックと言う名を与えられ、特殊部隊通称ゴースト部隊へと配属される。
ゴースト部隊の隊員は死んだ者の遺伝子によって生まれるため、ゴースト部隊と呼ばれているのだ。
小隊長であるジェーン・セーガンのもとで訓練と戦闘を重ねるディラック。
とある日、ほんのささいなことでブーティンの記憶をわずかに取り戻す。
それはブーティンの娘、ゾーイが好きだったゼリービーンズを売店で食べたことがきっかけであった。
次第によみがえってくるブーティンの記憶と自身の意識とのあいだでディラックは苦しんでいく。
その後ブーティーの居場所を突き止め、ディラックはゴースト部隊とともにブーティーのいる星へと向かう。
だがその星は敵対しているオービン族が多数いる場所であった。
だがブーティンの計画を阻止しなければ人類に未来は無い。
人類の存亡を賭けた戦いが始まろうとしていた。
そしてブーティーが人類を裏切った理由が明かされる…
今作では前作の主人公ジョン・ペリーは出てこないが、ペリーと関わりの深かったジェーン・セーガンがディラックの上官として登場し、ペリーの友人でオイボレ団の1人、ハリーも登場する。
前作に比べ、笑えるようなシーンはない反面、宇宙の中において、人類が置かれている危うい状況や、様々な真相が明かされている。
ディラックが徐々にアイデンティティーを確立していく中で、複雑な立場にもかかわらずとった行動、ジェーンが物語の結末として受け継いだもの等々、前作に引き続きとても読み応えのある内容である。