ジョン・スコルジー (著), 内田 昌之 (翻訳)
コロニー連合は地球と完全な絶縁状態となってしまっていた。
地球ステーションへの攻撃の黒幕は、コロニー連合とみなされてしまったのだった。
このままでは確実に人類は終わりを迎えてしまう。
人類には多くの敵が存在する。
400を超える種族からなるコンクラーベの脅威から解放されるためにも、本当の黒幕である勢力を突き止める以外に残された道はなかった。
とある貨物船の操縦士であるレイフ・ダクイン。
彼はハート・シュミットの友人である。
もともとプログラマーだった彼は、シュミットの紹介によりチャンドラー号の操縦士となった。
そこで搭乗券を予約していた外務副長官のオカンポと出会う。
チャンドラー号は出発するが、動力が落ちるトラブルに見舞われてしまう。
だが、それは何者かによる襲撃であり、すべてはオカンポの策略だった。
船に現れた、ララエィ族によって船長らは殺害され、レイフは意識を失ってしまう。
目を覚ましたときには、レイフは体を失い、箱の中の脳だけにされてしまっていた。
レイフは自分自身がチャンドラー号にされてしまったのである。
つまりコロニー連合への兵器とされてしまったのだ。
それは〈均衡〉と言う組織の仕業であった。
さらにはコンクラーベでも重大な事件が起きていた。
人類の危機、そして宇宙全体の危機が迫っていた。
その中でCDFのハリー・ウィルスンらは立ち向かって行く。
シリーズ第6弾。
前作からの続きと言う形であるが、章ごとに語り手が変わり、1章が箱の中の脳とされたレイフ、2章がガウ将軍の顧問官であるララン族のハフト・ソルボーラ、3章がヘザー・リー中尉、最終章でハリー・ウィルスンと言う形で、それぞれの視線、立場で語られ、1つの結末へとつながっていく。
宇宙全体を危機に陥れる存在の〈均衡〉との緊迫感のある展開と、激しい戦闘シーンは手に汗握るものであろう。
シリーズ全体を通して、難しい言葉や専門的な用語がないので、物語をイメージしやすく、誰にでも楽しめる作品だと思う。
今作で物語は1段落といった感はあるが、シリーズとしてこの先がどういう展開で続いていくのか、また期待である。