あまさきみりと(著)
何もしなければ余命半年といわれていた松本修。
彼は大切な人と時間を共にするため、手術を受けて、術後の経過も良好であった。
幼馴染の鞘音と付き合い始めた修。
前所属の大手レーベルを辞めて、地元に戻った鞘音だが、音楽を辞めたわけではない。
修の立ち上げた自主レーベルで、2人だ活動していく事に決めたのだ。
入院中の修のもとにある日、地元である旅名川の観光協会の三雲雛子という女性から仕事の依頼が届く。
その女性は修のあこがれだった人や兄貴分の人と親交があり、修の事も知っていたのだ。
そんな彼女の依頼はアーティストのSAYANEに旅名川の観光大使になってほしいというものだった。
最初は断る鞘音だが、自分たちの活動のバックアップにもなるとの事で両者の利害が一致し、受ける事に。
その結果、かつてのゆるキャラブーム際に誕生した地元のゆるキャラ。
たびねっこと鞘音が融合したさやねっことうキャラが誕生し、プロジェクトは進行していく。
そして地元のスノーランタンフェスに参加する事になる。
そのフェスは好きな人と永遠に結ばれるという言い伝えがあった。
フェスに向け、街を通して準備に取り組む。
しかし、当日、大雪でフェスを中止せざるとえなくなってしまう。
スノーランタンフェスに思いをはせる人たちの熱き想いがそこにはあった...
シリーズ第2弾。 今作では付き合い始めた修と鞘音、過去の恋をひきずり、現状維持のまま前にも後ろにも勧めないでいた雛子の初恋を描いている。
甘酸っぱくも切ない青春時代の恋愛は、誰もが経験のあるものではないだろうか。
近所や地域の人付き合い等、現代社会で失われつつあるものが、田舎の町を舞台に描かれていて、これが本来、昔ながら持ちえた日本の姿なんだろうと感じた。
また自分の石に反して弱っていく体、ウソをつかざるを得ない状況、親子での会話等、修の姿には胸に詰まるものがあり、思わず目頭が熱くなる。
今作も感動する作品に間違いない。