音乃木坂図書室 司書
高坂家での打ち合わせを終えた後、BiBiの3人は帰宅せずにカフェへと来ていた。
本来ならいつも行きつけのカフェへと行くのだが、この日は真姫の希望により、アキバに新しくオープンしたオシャレなカフェへと来た3人。
「真姫、よくこんな素敵なカフェ知ってるわね」 と言ったのはにこ。
「まぁね、ほら私は日ごろから色々とチェックしているからね」
「ふーん、まぁいいけど、オシャレな私にはピッタリのお店じゃないの」
「いやどちらかというとにこちゃんには違和感しかないけど」
「ちょっとそれどういう意味よ!」
「そのままの意味よ。にこちゃんには似合わないって事」
「あ、あんたね...今日も失礼ね!」 店に来るなりやり合う2人。
何処へ行こうとも変わらないにこと真姫の2人を見て、絵里が笑いながら言う。
「フフッ...私は2人を見てるだけで本当に面白いよ。将来はお笑いコンビとして2人でデビューしたらどう?応援するわよ」
「しないわよ!」 絵里の言葉に鋭く反応し、いつもと同様、見事なハーモニーを奏でて言う2人。
お笑いコンビはともかくとして、2人でいるのが似合っている事には間違いない。
BiBiでもそうだが、μ'sの時からライブとなるとこの2人の息はピタリと合っていて、一糸乱れず、以心伝心のごとくの動きを見せるのである。
練習の時や日常においては、互いに罵るかのように言い争う事もあるのが嘘のように...
「でもワクワクするよね。μ'sの復活に、それにBiBiのライブも間近だし...本当にハラショーだわ」
「そうね、絵里の言う通り楽しみよね。でもさ真姫、あんたBiBiとμ'sと新しい6人でのユニットだなんてどうするのよ」
「その件についてはさっき花陽からメールが来てμ'sとしてラブライブに出るのであれば、新しいユニットでのエントリーはしないという事になったよ。もちろん曲作ったり練習したりっていうのは今までと変わらないけどね。だから大丈夫だよ。まずはBiBiとμ'sに集中ね!」
「そっか、無理だけはしないようにね。それにしてもμ'sたのしみだなぁ。アキバドームでライブできるなんて最高よ。今日のみんなの嬉しそうな顔と言ったらもう...」
一番嬉しそうなにこの表情は笑顔であふれている。
その想いは絵里と真姫も同じだ。 2人共嬉しいのだ。
「そうね、それだけみんなμ'sがやりたかって事だもんね...」
感慨深気にいう絵里、そこに真姫が呟く。
「あっ...今日折角全員集まったから、希に新しい6人でのユニット名考えてもらえばよかったなぁ...」
その言葉ににこが反応する。
「えっ、まだきまってないの?その話前に聞いてから2週間はたってるじゃないの。しっかりしなさいよ後輩...なんの為に私が音乃木坂をあんた達に託したと思っているのよ」
別ににこから音乃木坂を託された記憶はないけどと思う真姫だったが口には出さないでいた。
「いい加減そろそろ決めたいんだけどね...」
そんな真姫を見かねて笑顔でピースをしながら、絵里が言う。
「私が考えておいてあげるから安心して!」
「う、うん...ありがとう...」 内心では期待できないと思いつつ、口には出さない真姫。
すると... 「しょうがないわね、私も考えておいてあげるわ」
真姫の肩をポンと叩き、笑顔で親指を立てるにこ。
「・・・、・・・」 ”にこちゃんは無理...”と内心で思う真姫。
口には出さないがおもいきり顔に出てしまっていた。
「ちょっと何よその顔は!?」 と言う具合にBiBiの3人は楽しくお喋りに耽っていた。
・・・のではなく、本当はまじかに迫って生きているBiBiの初ライブについての細部を詰める打ち合わせの為に来ていたのである。
ライブに向けて、曲は用意できたものの、振り付けの細かい部分や、3人での動き等、時間が少ない中で決めなければいけない事が多々あるのだ。
穂乃果の家で打ち合わせを終え解散してから3時間が経過した。
すっかり外は暗闇に包まれている。
この3人の凄いところは集中力はもちろんの事、全員がしっかりと自分の意見を家て、他人の意見に対しても、気になることがあれば遠慮なく言える事だろう。
そのため、しばし言い争ってるように見えたり、にこと真姫に至っては喧嘩をしていいるようにすら見える事もあるが、それだけ3人は真剣なのである。
ようやくBiBiの打ち合わせも一段落つき、一息つく3人。
そこで気分転換と言わんばかりににこが言った。
「ねぇ2人共、これ見てもらえる?」 にこはUpadを取り出し、2人に見せる。
「にこちゃん、いつの間にUPadなんて買ったのよ?」
「何言ってるの真姫。μ's時代から営業戦略部門を担当してきた私よ。最新鋭技術を取り入れるのは当然でしょ。常に時代は動いているのよ!」
相変わらず口が達者なにこである。
「そうだっけ...いつにこちゃんはそんな大層な役を受けたんだっけ...てっきりお笑い担当だと思ってたけど」
「ふふんっ、嫉妬してるのね」
「まぁ、そういう事でいいけど...(んな訳あるかっ!)」
心の中で激しくツッコミを入れる真姫であるが、絵里が珍しく口に出していた。
「にこの言ってることがよくわからないわね。何よ、AM放送担当って。ラジオでもやってるの?」
「ちゅっと絵里、あんた大丈夫?どうしたら営業戦略がAM放送に聞こえるのよ!いくらロシアでの生活が長かったとはいえ、さすがにそれはないでしょ。テキーラの飲みすぎで鼓膜がおかしくなってんじゃないの?」
「えっ、テキーラは好きだけど...」
「やっぱりね...っておい、未成年でしょうがアンタは!」
「何言ってるのにこ。私は18歳だよ」
「うん...そうだね...」 これはごく稀に見られる現象である。
帰国子女であり、ロシアでの生活が長かった絵里は、周囲と話が全然かみ合わないということがたまにおこるのであった。
ちなみに妹の亜里沙はこの傾向が絵里よりはるかに強く、周囲と話がかみ合わないのは日常茶飯事である。
にこはやれやれといった感じで諦めたかのように苦笑していた。
続く